終点は異世界でした。
そっと一口飲んでみれば、優しい味が口いっぱいに広がっていく。
優しい味と香りに心が安らいでいくのが分かる。
私の向かいに座った駅員さんも一口飲んでほっと一息ついた。
「お口に合った?」
「はい、とても美味しいです」
「良かった。茶菓子はないけど許してね」
笑う駅員さんに首を振って、もう一口喉へ流し込んだ。
すると視線を感じてふと前を見れば、駅員さんがじっと私を見つめていた。
「ニホン、かあ……初めて聞く名前。トリプラーの中でも珍しい黒い瞳に黒い髪だし、今までで一番遠い所から来た人だったりしね」
「あの、トリプラーって一体……」
私からしてみたら初めての体験だが、今までの驚き方といい、反応といいきっとこちらの世界では頻繁に起こることなのかもしれない。