終点は異世界でした。
腰に手を回されて、もう身動きは取れない。
ガザンは嬉しそうに私を見つめては、そっと頬を撫でてくる。
抵抗したいのに、悔しいけど何故か力が入らない。
「ずっと追いかけてたの薄々気づいていたんじゃないの?俺の愛用の剣の音に反応してくれた時には、ドキリとしつつも絶対手に入れてやるって心に誓ってたんだぜ。金さえ手に入れば、なんでもしてやろうってな」
「離し……てっ!!」
「抵抗しようとしても無駄だぜ。俺の魔力はそんなにヤワじゃない」
ゆっくりと近づいてくるガザンの顔に、どうしようもなくギュッと目を閉じた。
一筋の涙がそっと頬を濡らしたその時だった。
「俺の大事な人を、返してもらう」
懐かしい、そして暖かい温もりが全身を包んだ。