終点は異世界でした。
月明かりが照らすアルスの顔に、私は思わず自ら抱きついてしまう。
恐怖心が溶けて消え、安心感が広がっていく。
「怖い思いさせてごめんね、カンナ」
そっと抱きしめてくるアルスの胸でそっと涙を流す。
溢れてくる涙と共に、アルスは何度も耳元で大丈夫と優しく囁いていく。
そして私が落ち着きを取り戻し始めた頃、アルスが再び低い声で唸るようにガザンに声をかけた。
「さあ、お前は街に行け。今頃街は警備隊で溢れかえっている。大人しく自首した方が罪は軽くなるぞ」
「言われなくても分かってる」
「女将さん達が店を閉め続けていたのは、お前達が街を荒らしていたからなんだな」
「荒らしてはいねえよ。あいつらと一緒にするな」
拗ねた子供のような言い方をしてそっぽを向いたガザンを見つめた。