終点は異世界でした。



この人も何かを見失っている。


そう直感的に感じた私は、アルスの胸から抜け出してガザンの元へと近づいた。



「ねえ、なんで私を狙ったの」


「ったく、お前も頭悪いな金欲しさにーー」


「違う。だったらこんな森に私を置くんじゃなくて、そのまま貴族の所に行けば今頃お金が手に入ってたはずよ」



吃るガザンに私は勢いをつけて言い放った。



「何に迷っているのか分からないけど、そうやって他人を巻き込んでまで、やり遂げなきゃ前へ進めないことなの?アルスを散々馬鹿にした言い方してるけど、あんたの方がよっぽど馬鹿よ」



先程までの恐怖心はどこへ行ったのか分からないくらい、今度は怒りが溢れてくる。



「アルスはね、辛い過去を背負いながらでも自分の信じるべき道を前へと進んできた。その苦労は人並みなものじゃない。それでも毎日頑張ってるアルスを馬鹿にするなら私が許さない」


「……黒髪、もういい黙れ。そいつの言う通り、俺は魔力がない」



ガザンが私の勢いをかき消すようにそう本音を漏らし、私は口を閉じた。








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