終点は異世界でした。
「魔力がない、それは私に取ってみては想像のつかないことだけど……それでもいいと思う」
「……」
「人にはそれぞれ良さってものがある。私はガザンには優しさがあると思う。本当は悪になんか染まりたくないんでしょ?」
「ああ……」
小さくでもハッキリとそう呟いたガザンに、私はそっと微笑みしゃがみ込む。
間違ったっていい、出来なかったらもう一度やり直せばいいんだ。
何かに迷うことはたくさんあるけれど、怖がってちゃ何も始まらない。
「大丈夫だよ、ガザン。自分の帰るべき場所と、やりたいこと……きっと見つけられるよ」
「ーートリプラーって落し物をひたすら探すだけの奴だと思ってたけど、この世界に馴染みすぎだろ」
「え?」
聞き返した途端、腕を掴まれてそっと耳打ちされる。
「帰れなくなる前に、その感情を断ち切れよ」
バランスを取ろうとした手が地面に着いた時、掴まれていた感覚がふっと消えた。