終点は異世界でした。
……ああ、神様どうかもう少しだけ。
そう願っても時間は止まってくれなかった。
私の体が光に包まれ徐々に薄くなっていく。
「やめろ、カンナ!お願いだから、行くな!」
「ごめんねアルス、もう終電の時間に間に合わないみたい」
アルスが必死に抱きしめるけれど、私の体は消えていく。
そんなアルスから少しだけ離れ、今度は私からそっとアルスにキスをした。
少し驚いた顔をしたアルスに小さく微笑んで、小さく手を降った。
「ありがとう、アルス。私絶対アルスのこと忘れない」
「カンナッ!」
「アルスが保証してくれたから、私自分の道見つけてちゃんと前へ進むね。だからーー」
最後の言葉はアルスには届かなかった。
眠気が急に襲ってくるような感覚と共に、体が軽くなっていった。