終点は異世界でした。



日曜日の昼下がりは、ゆったりとした時間が流れていた。


少し暑い日差しが私の肌を突き刺していくものの、心地よい風が吹き抜けていく。


少し長い坂道を下りながら、街全体を眺めて一つ深呼吸をした。


どこかで鳴く鳩の声に、子供達の笑い声。


当たり前の日常中の変哲のない音。


何となくそれが懐かしい、そう感じてしまう。



「いい天気だな〜!」



一人そう言って、チラリと生垣の綺麗に整えられた家を見た。


そこに咲く薄水色のデルフィニウムの花々に、自然と足が動いた。


ドキドキするこの感じは一体何なんだろう。


そう思ってデルフィニウムの花を眺めていた。







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