終点は異世界でした。



ホームで立ち止まる私に気づいた車掌さんがゆっくりとやって来る。



「あの、大丈夫ですか?」


「はい、その……」



どこかでお会いしたことありますか、なんて聞けるわけなくて吃っていると車掌さんは私の胸元を見て、目を見開いた。


首を傾げて車掌さんを見ていると、急に嬉しそうな笑顔で私の事を抱き上げる車掌さんに反応が出来なかった。



「会えた!会えたんだ!!」


「えっあの?!」



困惑している私にはお構い無しに車掌さんは、ギュッと抱きしめてくる。


普通なら突き飛ばすだろうが、車掌さんに抱きしめられて涙がこみ上げた。



「カンナ……ずっとずっと会いたかった」



そっと耳元で名前を呼ばれ、私の中で何かが弾けた。





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