moon~満ちる日舞う少女~【外伝】
火が迫ってきていて熱い。
母「真田、逃げなさい」
真田「は?!…」
母「あなたは木の柱に結びつられているだけ。火がついた今なら……壊せるでしょう?」
真田「じゃあ母さんもいっしょに……!」
母「だめ。……私のは外せない」
真田「そんなことねぇ!!」
俺はさっき言われた通り木の柱を壊して体の拘束をといた。そして母さんの鎖に手を伸ばす。
真田「……っ」
火の熱で鎖が熱くなっていた。
母「……もう火がそこまで迫っている。……ゴホッ……いいから……逃げ、なさい」
真田「だったら俺もここに残って……」
母「馬鹿なこと言わないで!!……あなたは私の宝物。……お願い……真田だけは……」
そういいながら母さんは咳き込んだ。
母「………真田、私は……あなたと、一緒にいられて……幸せだったわ。…………さぁ行きなさい」
真田「……っ」
頬に涙が伝った。
母「あなたをよろしくって頼んであるから、その子を頼るのよ?…………いきなさい!!!」
真田「……っ!!!」
俺は走り出した。…後ろでは母さんが笑っているのがわかる。
『愛してるわ、真田』