moon~満ちる日舞う少女~【外伝】
「う、うらぁぁあ!!」
そんなことを考えていたら、先に相手が斧を振りかざしてきた。
「っ、!」
俺は反射的に右手を動かす。
考えるよりも先に、いつも動くように無意識の行動だった。
グシャ…っといつもの感覚がした。それはナイフが相手の腹に刺さった音。
「う、うぷっ…っ」
相手が血を吐きながら倒れる。
『運命共同体だ!』
その口から言葉が発せられることは無い。
「また373か。さすがだな」
と、監視員は笑った。
こいつらは狂ってる。きっと心なんか存在しない。クズみたいな人間だ。
でも、
きっと、
俺も同じようなクズだ…
俺は倒れたそいつをズルズルと運んでいく監視員をただ眺めながらそう思った。