dieっと


「___うっ‼︎」


吐き気が込み上げてきた。


慌てて肉を吐き出すも、口の中に広がった脂が胃を侵食してかき混ぜる。


急いで水で清めたが、気持ち悪さまでは拭えない。


試しに玄米を食べてみたが、これまたムワっとした匂いが鼻を突き上げ、胃液がせり上がってくる。


とてもじゃないが、食べられない。


バスはうねうねと山道を登っているようで、車酔いしたのだろう。


それに加え、この人熱(ひといきれ)だ。


「あれ、食べないの?」


もうほぼ完食している亜紀が、眉をひそめる。


周りを見渡すと、戦うように弁当に顔を突っ込んで平らげているデブばかり。


なんだかカッコつけてるように思われるかも?


斜め前の痩せている男性なんて、全く箸をつけてもいないが。


「うん、ちょっと車酔いしたみたいで」


「そっか。じゃ、代わりにクッキー食べる?」


亜紀は私だけじゃなく、周りの参加者にも配り始めた。


「亜紀のカバンはなんでも出てくるね」


「4次元ポケットだから」


微笑んでお腹を突き出す様子に、私も笑う。


よかった、亜紀のお陰で気持ち悪さも消えていった。


とてもじゃないが、一口も食べることはできない。


一口も__。


その時、車内アナウンスが。



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