dieっと
【敗者の行方】
【敗者の行方】
バスの中は、空が飛べるくらいに軽い雰囲気に包まれていた。
解放感からか、必然的にお喋りになる。
お互いがどれだけ痩せたかを、お菓子を食べながら競い合う様に、私は少し呆れながらも思い切り伸びをした。
「頑張れ、真帆」
バスが出発し、離れていく【親友】に言葉を掛ける。
不合格にはなったけれど、70kg台に突入し、痩せる心構えができたこと。そしてなにより、真帆という心を許せる友ができたことが、1番の収穫だった。
凄まじいダイエット合宿だったけれど、悪いことばかりじゃない。
「良かったら、食べる?」
振り向いて私にスナック菓子の袋を差し出してきたのは、鈴森(すずもり)さんという女性。
見るからに太っているが、それでも5kgも痩せたと喜んでいた。
1人で2つの座席を占領している。
私も人数の関係から、2つの座席が与えられ、来た時とどうやら同じバスの同じ座席に座っていた。
すると鈴森さんが、素っ頓狂な声を上げた。
思わず身を乗り出すと、携帯の画面に見入っているところで、私も覗き込む__。
「バス事故?あ__ダメだ、電波が切れた」
他の参加者も、各々が携帯を開いていたが【圏外】なのか電波が悪いらしい。
私も、何の気なしに携帯の電源を入れた。