dieっと


「真帆ちゃん、もう今日は休もう」


日付が変わろうとする時間だ。


ジムにはもう、私と小塚さんしか居なかった。


昨日までは夜中にも沢山、参加者が汗を流していたのに。


Aチームが抜けるのは間違いない。


あと1枠を、4チームで争うが、ほぼどんぐりの背比べだ__うちを除いて。だからせめて少しでも減らして、喰らい付かないといけない。


「気持ちは分かるけど、真帆ちゃん1人ではダメだ」


「でも__」


「みんなの気持ちが1つにならないと。それには、まず真帆ちゃんが、他の仲間を信用しないといけないんじゃないかな?1人で背追い込むんじゃなくて、周りを信頼しないと」


「周りを、信頼」


口にして初めて、信頼し切ってないのだと気づいた。


心では信じていても、こうやって走っている。


しかも、小塚さんを巻き込んで。


「小塚さんの言う通りだね。今日はもう休む」


「うん、ありがとう」


「お礼を言うのは私のほうなのに。でもつい気負っちゃうの、由加里の分までって」


「そうか。そういえば、元気にしてるかな?」


「もりもり食べて太ってたりしてね」


「あり得るかもしれない」


なんて、2人で笑い合った。


笑うとやっぱり目がなくなる。


この笑顔を見ているだけで、心から安心できるな。


「あの、真帆ちゃん?」


「ん?」


小塚さんは、いつになく真剣な顔をしていた。



< 128 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop