dieっと


なにも聞こえない。


壁を叩く音も、咳き込む声も、気配さえ消えてしまった。


私たち参加者たちは、引き寄せられるように【透明な箱】に近づく。


中でなにがあった?


どうして体重計から下りることができない?


白い煙は、一体なんだ⁇


すると、蠢いていた煙が吸い込まていく。


誰もが息を殺し、煙が晴れていくのを__。


バンっ‼︎


突然、男が現れた。


煙をかき分け、壁に顔を打ち付けた男は__目、鼻、口、耳からも血を流して、断末魔の叫び声を上げている。


「なんだ、これ?」


小塚さんの呟きは、みんなの気持ちを代弁していた。


白い煙のせい?


あれはきっと__「毒だ」と誰かが言った。


瞬く間に、目の前で行われたのが【処刑】だと全員に広がっていく。


煙が全て消えてなくなると、そこにはAチームが横たわっていた。折り重なるように、全員が死んでいる?


透明だった壁には、自らがぶつかったであろう血が生々しく付着している。


ペナルティー、それは【全員の死】だというのか?


「うそだろ?に、逃げなきゃ‼︎」


誰かが叫び、駆け出したのを合図に私たち参加者は逃げ出した。


我先にと建物の出口に押し寄せる。


しかし。


ドアは開かない。



< 137 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop