dieっと
館内にアナウンスが流れても、私たちのパニックはおさまらない。
おさまるわけがない。
どこかに逃げ道はないかと、方々に散らばって探すも見当たらない。完全に、閉じ込められている。
「だめだ、どこにも出口はない」
「こっちも。窓も絶対に割れないし」
私と小塚さんは、途方に暮れて報告し合う。
やがて参加者たちが広間に集まりだした。みな、首を振っている。
「ねぇ、見て。片づけられてるわ」
真っ青な顔色の吉野さんが、巨大体重計を指差す。
そこには、苦しみ喘いでいたAチームの遺体も、壁の汚れた血痕も、全てが綺麗に清掃されていた。
元の綺麗な透明の箱。
もし、もし10kg減らなかったら、殺される?
箱の中で、毒殺されてしまう。
「わ、わたし、死にたくない」
篠田さんが、200kgの巨体を揺らして涙を流していた。
叫び声を上げるもの、悲鳴を上げるもの、蹲っているもの、残された参加者たちの受け止め方は様々だ。
目の前で見たんだ。
見せつけられたんだ。
私たちへの戒(いまし)めに、死んでいく様をまざまざと見せつけられた。
その恐怖心が消えるわけもない。
どうやっても、震えが込み上げてくる。
最後の、あの男の顔が、頭から消えてなくならない。
「真帆ちゃん、大丈夫?」
遠慮がちに、私の肩に手を置く小塚さんのその手を、私は掴んでいた。