dieっと


暴れ龍のように、全てを焼き焦がしていく。


決して逃げられない籠の中で、助けを求めてもがく__かつては人間であったもの。


皮膚が焼け爛(ただ)れ、顔が溶け落ち、目玉が垂れ下がっていくDチームを、火が包み込む。


「ひどい」


それしか呟くことができない。


炎の渦巻きが最高潮に達した時、ようやく消化が行われた。


箱の中に残されたのは、黒ずんだ塊。


【清掃にしばらくかかりますので、今しばらくお待ち下さい】


他のチームが逃げるように出て行く中、塊がスタッフによって運び出されていく様子を、私たちは見入っていた。


次は自分たちかもしれない。


あれが、未来の姿。


数分先の私なんだ__。


【準備が整いました。体重測定を行って下さい】


そう促されても、完全に怖じ気付いた私たちは互いの顔を見合わせるだけで、体重計に進むことはできなかった。


代わりに、Eチームが颯爽と名乗り出る。


怖くないのだろうか?


失敗すれば、箱の中で焼き殺されるかもしれないのに?


それなのに、迷うことない確かな足取りで体重計に乗り始めるEチームの__5人?


「おかしい」


やっぱり気づいたのか、小塚さんが呆然と言った。


「4人しかいない」


と。




< 148 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop