dieっと


1名だけ、勝ち残る⁇


方法は任せるが、箱の隅を見ろ?


全員の視線が、透明な箱の一角に注がれる。


そこには__【斧】が横たわっていた。


「まさか__?」


「そのまさかだな」


隣の篤志が答える。


箱の外で見ていた私にも分かった。


空気が変わったことが。


肌が切り刻まれるくらいに、箱の中の空気が研ぎ澄まされたことが、分かったんだ。


息すらできない時間。


打ち破ったのは、Cチームの女性だった。


「いやぁあああああああー‼︎」


自分を鼓舞するように叫びながら、斧に向かって突進いていく。


すぐ後に続く、残り4人。


しかし、ほんの一瞬のためらいが致命的となる。


斧を手にした女は、振り向きざまに大きく振り上げた。


殺るしかない。


殺らないなら、殺られるだけ。


ここから生きて出られるのは、たったの1人。


事実は明確すぎるのに、分かりきっているのに、だからといって目の前で飛びかかってくる勢いの仲間を殺すことなんて__。


ためらいは、命取りとなる。


女の腕に飛びかかった男が、斧を取り上げ、そのまま女の脳天に斧を振り下ろした。


なんの、ためらいもなく。






< 170 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop