dieっと
【それでは自転車にお乗り下さい】
それぞれに分かれて、ママチャリに乗る。
私はサドルの高さを合わせなくても、乗ることができた。
ブレーキの感触や、ペダルの漕ぎ具合を確かめる。
でも、そんなことしなくても__?
「あぁ、すまないねぇ」
後ろを見やると、米山さんがスタッフの手を借りてようやく自転車に乗ったところ。
乗ったはいいが、足がペダルに届いておらず、漕ぐこともままならない。
これはいくらなんでも、私の勝ちじゃないか?
漕げるだけ漕いで、カロリーを消費すればいい。
おばあさんに比べれば、代謝だっていいだろう。
あの骨と皮だけの年寄りに、消費するカロリーがあるとは思えない。
「お嬢ちゃん、お手柔らかに頼むよ?」
にんまり笑うその顔は、老婆そのもの。
どこかゾッとしてしまい、慌てて前を向く。
【それでは始めます。よーい、スタート‼︎】
合図とともに、私はペダルを漕ぎ出した。
軽い。
軽い軽い。
自転車なんて乗ることもなかったが、こんなに勢いよく漕げるのは、きっとこれまでのダイエットの賜物だろう。
これは勝てる‼︎
そう確信し、チラリと振り返ると__⁉︎
米山さんが、じぃーっと私を見つめていた。
「お嬢ちゃん、随分と威勢がいいねぇ?」