dieっと
えっ⁉︎
思わずペダルを漕ぐ足が止まった。
そもそも、米山さんは1度も漕いではいない様子?
「今度は、どんな惨(むご)たらしい殺され方をするかねぇ?」
いや、そもそもこの人は__?
「皮膚を剥ぎ取られる?じわじわ溺れ死ぬ?いっそ一思いに殺してくれるといいけどねぇ」
漕ぐ気がないんだ。
「まぁ、若いお嬢ちゃんよりは、この腐ったばあさんが死ぬほうが、世の中のためってもんだけどねぇ」
そう言うと、にんまり笑った。
自分が死ぬかもしれないのに?
ううん、違う。
自分が死ぬことがないと知った、微笑みだ。
なぜなら、私はもうペダルを踏み込むことができないから。
勝つものがいれば、負けるものがいる。
勝者は勝ち進み、敗者は__死ぬ。
チーム戦がそうであったように、この個人戦だって同じだ。
戦いで負ければ、待っているのは【死】。
それも、とんでもなく悲惨な死に様が待っている。
私がペダルをひと漕ぎするごとに、相手である米山多恵が死に近づく。
私が追い詰めるんだ。
そして、それが出来ないと分かっているから、私を指名した。
勝つために。
確実に勝つために。