dieっと


「ふぅー、アッキーナそろそろ本気だしまーすっ‼︎」


敬礼したかと思うと、大ぶりのステーキ肉にフォークをぶっ刺した。


あんな大きい肉の塊、お上品なお口に入るわけないじゃないか?


だが、アキはにっこり笑うと、口を開けた。


どこまでもどこまでも大きく、裂けるくらいに。


余裕で口に入れると、噛んだのか飲み込んだのかも分からない早さで食べ終えた。


すぐにステーキの残り半分を食べ尽くし、次から次へと料理が吸い込まれていく。


「まいうぅー‼︎」


全く表情を変えることなく、テーブルが空になった。


次に運ばれてきた料理に取り掛かっても、アキはにっこり笑ったまま。


底なし胃袋の持ち主だったんだ。


両天秤は、今は平行に戻っていた。


それどころか__。


「篠田さん、頑張って‼︎」


私は叫んで励ましたが、食べ物に塗(まみ)れた篠田さんは苦痛に顔を歪めている。


同じ量を、いやアキは2巡目で、篠田さんはまだ1巡目なのに、2人の表情は正反対だ。


ようやくテーブルを空にしたが、天秤が傾き出す。


ここにきて形成を逆転されてしまった。


こうなれば、3kg差をつけられないよう、喰らいつくしかない。



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