dieっと
スコップを土に突き刺す。
さらに足で深く押し込み、土をえぐり出す。
その単純作業だ。
小塚さんはああ見えて筋力もあるほうで、順調に土の山を築いていく。
だが__。
「なんて速さなの?」
私は愕然と呟いた。
まず差し込む深さが違う。
夢双山は、最初の一発目でスコップが埋まるんじゃないかと思うくらい、深くまで突き刺す。
そして多量の土をかきだし、後ろに放り投げる。
足でスコップを押し込む動作がない分、速さも2倍だった。
小塚さんが富士山なら、相手はエベレスト。
掘り起こした土の山の高さが、2人の力の度合いをそのまま表していた。
「小塚さん‼︎頑張って!」
必死で土を掘り起こして、引き離されないように喰らいついていた。
でも__勝敗はどうやってつく?
明確な数字を伝えられていない。
それってつまり、今回もなにか【裏】があるんじゃないか?
決着をつけるには、片方の命が尽きるまで__。
その時、小塚さんが上を見上げた。
なにかが、降っている?
「砂だ」
「えっ?」
「砂が降ってきている」
篤志の言葉通り、どうやら小塚さんの箱の天井から砂が降り落ちてきているようだった。