dieっと


雨が降っている。


一方は土砂降り、もう一方は小雨。


小塚さんの箱には、どんどんと砂が溜まっていく。


それでも懸命にスコップを動かし続け、隣の夢双山に砂の雨を降らす。


今や夢双山は、膝が見えなくなるくらいの土を掘り起こしていた。


その怪力がなせる技だ。


ということは、その10倍の砂が小塚さんに降り注いでいるということになる。


小塚さんも掘り返してはいるが、勢いは確実に弱ってきていた。


「小塚さん‼︎しっかり!」


砂の雨が邪魔をして、箱の中がよく見えない。


それでも姿が見えなくなるくらいまで、小塚さんも負けじと掘り返していた。


ただ、その広さが違う。


夢双山は手当たり次第、広範囲で土をかき出しているのに比べ、小塚さんは同じところばかり。


このままいけば___埋もれてしまう。


砂の中に、生き埋めにされてしまう⁉︎


「うぉおおおー‼︎」


雄叫びを上げ、降ってくる砂ごと土をえぐる夢双山の勢いは止まらない。


見る見るうちに、小塚さんの箱に砂が詰まっていく。


「勝負あったな」


「そんな、ひどい‼︎」


負けを断言する篤志に食ってかかるが__。


「ほら、もう見えなくなった」


その言葉通り、小塚さんは砂に埋もれて見えなくなった。







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