dieっと


ようやく、砂の雨がやんだ。


あの夢双山でさえ、首から下まで砂に埋まっていて身動きが取れない。


いくら怪力の持ち主でも、もう土を掘り起こすことはできないだろう。


でも__小塚さんの箱部屋は、ほぼ砂で埋め尽くされていた。


小塚さんの姿は見えない。


「そんな__」


私は膝をついた。


力が抜けていく。


篠田さんに続いて、小塚さんまで。


熊のような愛嬌のある笑顔が、目に浮かんでくる。


絶対に勝つから、と言ってくれたのに。


篠田さんが負けてショックを受ける私を、励ますように約束してくれた。


それなのに___約束を破るの?


ねぇ、小塚さん。


なんとか言ってよ‼︎


強く握りしめた拳で、床を叩いた。


どん。


どんどん。


何度も何度も叩いた。


「おい、やめろ」


「だって__」


顔を上げて、私を冷たく見下ろす篤志を睨みつける。


八つ当たりしても仕方ないけど、逆らうように叩いてやった。


どんどんどん。


「だから、やめろ」


「うるさい‼︎」


「うるさいのはお前だよ。聞こえないだろ」


「聞こえない?なにがよ⁉︎」


「静かにしろ‼︎」


きつく言われ、思わず耳をすます。


もう何も聞こえるはずがない。


だって小塚さんは、あの砂の中で圧死したはず__?



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