dieっと


「えっ?これって、どういう__?」


「そのままだろ。あいつは未だに土を掘っている」


「でも、砂に埋もれてるはずじゃ?」


私の問いかけには答えず、険しい顔で小塚さんの箱部屋を見ている篤志。


なにも見えない。


砂で埋もっているのだから。


それなのに、ぱらぱらと砂は降り続いている。


「た、助けてくれ‼︎」


顎の辺りまで砂に浸かっている夢双山が、叫んだ。


その顔が真っ赤だった。


恐らく力の限りもがいているのだろうが、いくら力があっても砂の中じゃビクともしない。


ぱらぱらぱら。


叫び声を封じ込めるかのように、雨は降っている。


ぱらぱらぱら。


砂が、文字通り【息の根】を止めていく。


ぱらぱらぱら。


夢双山が、見えなくなった__。


【小塚俊一さんの勝利とします】


勝敗が決まると、砂が取り払われていく。


一体、小塚さんはどうやって土を掘り起こしたのか?


えっ?


全ての砂がなくなっても、小塚さんの姿はそこにはなかった。


篤志と2人で、箱部屋に近づく。


よく目を凝らしたその先から__腕が突き出てきた。


ゾンビのように、地中から這い出てくる小塚さんは、私を見てにっこりと笑ったんだ。


熊のように。



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