dieっと
【それでは、丸太切りダイエット、始め‼︎】
合図の途中から、北山竜一はのこぎりを動かし始める。
凄まじい速さで、丸太に切り込んでいく。
欲望、憎しみ、恐怖、全ての感情を丸太にぶつけているようだ。
一方、由加里は__?
「ちょっと、なにしてるの?早く切って‼︎」
私は叫んだ。
まったく動きもしない、村上由加里に。
のこぎりに手を掛けたまま、見るともなく遠くを見ている。
その目には、なにも写っていない。
「俺の勝ちだな‼︎」
早くも確信したのか、北山ののこぎりを動かす手に力が入る。
このままじゃ、負けてしまう。
ただ負けるならいい。
きっと、なにか【裏】があるはず。
命に関わるなにかが、待ち受けているはずだ。
突然、音が聞こえてきた。
刃が回転する音が。
「おい、なんだよ‼︎」
のこぎりの手を止めて、北山が怒鳴った。
音は少しずつ大きくなっていく。
丸太の中央が振動し、木屑が舞い散る。中に仕組まれていた刃が回転し、今やとんでもない大きさとなって丸太を切り裂いていた。
腰を固定されている2人に向かって、刃が容赦なく前進する。
【消費したカロリー分だけ、刃の動きが止まります】
消費しないと、体が真っ二つになる。