dieっと


これでいい。


これでいいんだ。


亜紀は勝ち残って、少しでもダイエットができる。


それと同時に病気にも打ち勝ってほしい。


少し残念ではあるけど、後悔はしていない。


【100kg】だなんたウソをついたけど、本当にそう思ったんじゃなくて、あえて私が負けることを選んだと亜紀も気づいてくれるだろう。


だってあり得ない体重だもの。


3桁なんて、あり得ない。


デブだからこそ分かる。


私は真意を伝えるつもりで、軽く微笑んだ。


亜紀も気持ちを汲み取ってくれて、私に微笑み返してくれる。


いいのよ、お礼なんて。


気にしなくていいの。


しかし次の瞬間、私は耳を疑った。


「太田真帆さんの勝利です」


「はっ?」


私の__勝ち?


驚いて前を見ると、亜紀は微笑んだまま。


けれど、その微笑みは唇がつり上がり意地悪く歪んでいるように見えた。


「私、100kgに見えた?」


そしてその声も、これまでの明るく快活な亜紀ではない。


怒っている?


私が勝ったから?


亜紀が答えた誤差はたったの1kg。私が勝つには、誤差がそれ以内が条件。


ということは__前田亜季の体重は100kgなの?



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