dieっと
「うそっ」
当ててしまった?
負ける為に外そうと答えた、あり得ない体重が、本当の体重?10kg以上もサバを読んでたっていうの?
いくつもの信じられない思いが重なって、呆然と目の前の亜紀を見つめていた。
唇をわなわな震わていた亜季は、体重計を両手で叩いた。
思わず身をすくませるくらい、激しい音がする。
「私が100kgに見えたかって聞いてんの⁉︎」
「そうじゃなくて、私は亜紀に勝たせようと__」
「気安く名前を呼ぶんじゃないよ‼︎こんなことなら、弁当を食べてやるんじゃなかった‼︎」
怒り狂う亜紀は、人が変わったように見える。
「あ、あの、私、辞退します。だから代わりに__」
「辞退は認められません」
スタッフに素気無く却下された。
「でも病気みたいだし、命に関わるから」
私の懸命に訴えを遮ったのは、他でもない、病人の高らかな笑い声。
「あんた信じたわけ?病気で死ぬなら、こんなとこ来ないし。お菓子を配ってたのも、1kgでも周りを太らせる作戦だったのに」
「そんな__」
「恩を仇で返されるなんてね。人を馬鹿にして」
あくまで亜紀が怒っているのは【100kg】だと見られたこと。
それが許せないんだ。
バスに押し戻されていく亜紀は、振り向きざまにこう言い放った。
「このデブ‼︎」