dieっと


水が噴き出してきた。


四方の天井から、勢いよく流れ出してくる。


1kg痩せると、鎖の拘束が解けて水責めから逃れることができるということか。


つまり、1kg痩せないと溺れ死ぬ。


それは頭で分かっていても、1kgここで痩せるというのが困難だ。


今から尿を飲んでも間に合わない。


一体どうしろと__?


途方に暮れている私の足元に、冷たい水が押し寄せてくる。


「真帆ちゃん‼︎」


手前で繋がれている小塚さんが、駆け寄ってきた。


「大丈夫だ。大丈夫だから」


「でも__」


「ぼ、僕がなんとかする‼︎君を守るから!」


私の前に立つ小塚さんの腕に、思わずしがみついた。


水は、物凄い速さで水位を増している。


今から運動をしたところでムダだ。


運動をしないで痩せる方法__それをすでに実践しているアキと篤志は、水が噴き出してくる真下で口を大きく開けている。


水を浴びているんだ。


水を飲んで、吐き出すために。


さっき暴食した肉を逆流させ、1kg減らそうとしている。


でも私は、なにも食べてはいない。


吐き出すものすらない。


アキが慣れた手つきで、喉の奥へ指を突っ込んだ。


えづく音が聞こえる。


篤志も同様に吐き始め、聞くに耐えない音が重なり、水の流れる音、動かない由加里、動けない私と小塚さん。


やがて。







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