dieっと


バスが見えなくなっていく。


「このデブ‼︎」と言い捨てた亜紀は、最後まで私を睨みつけていた。


あれが本当の姿だったのか?


消えていくバスをぼんやり眺めていると、なぜか取り残された感が強くなっていく。


山道に放り出された、デブの集団。


「それでは、少し歩きます‼︎」


先導するスタッフに、のそのそとついていく。


いくら秋晴れとはいえ、ジャージではいささか寒い。


それでもすぐ息が上がり、膝が笑い、座り込む参加者が続出する。


「会場までたどり着けなれば、脱落とします‼︎」


拡声器で後ろからあおられるも、誰もの頭に浮かんでいた。


一体、どこまで行けばいいのか?


それでも足場の悪い獣道を登る。


お互いを励ますならまだ頑張れた。でも、さっきの体重当てといい、周りは全て【敵】なんだ。笑顔を浮かべて近づいてきても、腹の中では裏切っている。


疑心暗鬼にも似た暗い気持ちが、足取りをさらに重くしていた。


ただ黙々と、ゾンビの行進のように前に進むだけ。


足元を見つめ、私も独りで歩いていたが__。


「あっ‼︎」


気づいた時には、幹に足を取られて転んでいた。


足首が痛んで立ち上がれない。






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