dieっと


「真帆ちゃん、これ__あげる」


「えっ⁉︎」


いつの間にか、小塚さんが目の前に立っていた。


目の前に。


後ろに身を引こうにも、水に押されて動けない。


はさみを持った篤志が、私の前に躍り出る。


「僕からの贈り物だよ」


にっこり笑う口元が、真っ赤だった。


あれは、血の色。


一体、誰の?


なんの血?


それに第1、どうして目の前にいるの?


「おい、それ以上くるな‼︎」


はさみを突き出して威嚇するも、小塚さんには見えていない。


小塚さんはずっと、私だけを見ている。


「ちょっと」


「引っ張んなよ!」


「だからちょっと‼︎」


「なんだよ⁉︎」


刃先が、とうとう喉元まで突き刺さる距離になってようやく、篤志も気づいたようだ。


私が言わんとしていることに。


「お前、外れたのか?」


なんで?と、言葉が続く。


そう、小塚さんの拘束が解けている。


鎖に繋がれたままなら、ここまで近寄ることができないはず。


1kg痩せたということだ。


この状況で、どうやって__?


「君のためなら、僕はなんだってできるから」


刃が喉に食い込んでもなお、前に進んでくる。


そして、贈り物を目の前に差し出した。






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