dieっと
霞んでいく意識の中で、必死に考える。
私たち2人が助かる方法。
今、ここから抜け出すことは不可能だ。となると、やはり体重を動かすしかない。5kg太ると勝つということは、相手が5kg痩せてもいいわけか?
これ以上、減る脂肪もないが、着実に体重は減っている。
でもそれは、由加里も同じことだ。
それならどちらかが、より体重を減らすしかない。
運動をするのも限度がある。
でも私は知っている。
急激に体重を減らす方法を。
だから懸命に我慢してきた。そもそも何も飲んでいないので出るものもないが、それでも尿意を催すんだ。
飲尿で一気に体重を減らし、由加里を勝たせる。
負けた私はこれまでのように殺されるかもわからないが、なにか動きがあるはずだ。その隙をうまくつくことができれば__。
まだこれだけ思考する力があるうちに、実行したい。
時間が経てば経つほど、考える力が奪われて無気力になっていく。
「由加里、協力してほしいの」
丸められた背中に声を掛ける。
ようやく静かになった。きっと私の言葉が届くはず。
「どうにかして、尿を飲まないといけない。でもコップもなにもないから、だからお願い、協力して__」
「来ないで‼︎」
振り向きざまに、思い切り突き飛ばされた。
激しく後ろに転倒した拍子に、我慢していたものが溢れ出す。
唯一の希望が、流れてしまった__。