dieっと


えっ⁉︎


わたしは返事に詰まった。


頭が熱くなり、昌也(まさや)が発した言葉の意味が分からない。いや、そもそも返事など期待していない?


だってすでに、昌也の隣にはすらっとした美人が。


「俺、こいつと付き合うから」


肩を抱き寄せられた【こいつ】は、私を見て申し訳ない顔をするでもなく、ただ鼻で笑った。


人の彼氏を取っておきながら、笑ったんだ。


思わず「どうして⁉︎」と尋ねたら、さっきの【デブ】発言に繋がったというわけ。


付き合った当初は【ぽっちゃり】した真帆(まほ)が好きだと言っていたのに。


そりゃ、確かにぽっちゃりの許容範囲は越えたかもしれないが__。


ひどい。


ひどすぎる。


【デブ】の一言で切り捨てるなんて。


まるでそう言えば、反論できないみたいに。


確かに【84kg】の私__太田真帆は言い返す言葉はなかったが。


私という存在を全否定され、悔しさで涙も出ない。


あんな男、こっちから願い下げだ‼︎


コンビニで多量に食べ物を買い込み、家に着くのももどかしく、口の中に詰め込んでいく。


デブでなにが悪い‼︎


私は19年間、この体で生きてきたんだ‼︎


デブデブデブ、デブデブデブデブデブ‼︎



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