dieっと


とうてい、理解できるものじゃない。


それなら獣で溢れ返ってしまう。


【けれど、ちゃんと人として生活できる場合もある、小塚俊一のように。彼はうまく共存していた。私たちは、彼を理想形として実験を進め、あちこちでこのダイエット合宿を行っている】


小塚さん。


確かに、優しさと思いやりに溢れていた。


たとえそれが、偽りだったとしても。


【すでに小塚俊一のような人肉喰いが、世の中にたくさん紛れ込んでいる。もう、普通の食事を受け付けない彼らは、どれだけ高値でも人肉を買い求める。そしてそれはとどのつまり、経済が潤うということ】


「日本が、活性化する?」


【その通り。そして太田真帆さん、あなたもすでにその歯車の1つとなっている】


「私は違う。私は絶対に獣なんかにならない。人肉なんて、一口だって食べない」


【もう、食べているとしたら?】


「__?」


【合宿中に出された食事は全て、人肉です】


「うっ‼︎」


胃が暴れ出し、吐き気が込み上げる。


バスの中の弁当から始まり、要所要所で出された【食事】を思い出す。それら全部が、人の肉?


胃がよじれるように痛み、その場に崩れ落ちる。


「そ、そんなっ__」


どれだけ吐き出しても、もうそれは私の肉となり血となった。


わたしの一部となったんだ__。


私は、人を食べた。



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