dieっと
今すぐ、この場を立ち去ろう。
そして美味しいものを、たらふく食べる。
吐き気がするのは、長いこと何も食べてないからだ。
ただそれだけ。
また太っても構わない。
なんの変哲もない生活でいい。
落とした脂肪と引き換えに、失ったものはあまりに大きいじゃないか。
少しでも取り戻すんだ。
だから、だからここから今すぐに__。
そこで、私の思考がぷつりと途切れた。
遥か上空から自分のことを見下ろしているような、そんな錯覚だ。
亡霊のように【私】が部屋に戻っていく。
由加里の__由加里だったものの傍に膝をつくと、手を伸ばす。
激しく震えているのは、怖いからか?嬉しいからか?
「ダメ!触っちゃダメ‼︎」
金切り声を上げて食い止めるも、その手が腐った肉に触れた。
瞬間、離脱していた意識が戻る。
だめだ。
絶対にだめ‼︎
私は獣になんかならない。
自分に打ち勝つんだ。
これは人が食べるものじゃない。
私は絶対に食べない。
私は人間だ。
こんなもの__こんなもの‼︎
こんなもの‼︎‼︎‼︎