dieっと
「ぎゃあああああああ‼︎」
口から多量に血を流した雅也が、聞くに耐えない声を上げる。
どぼどぼと血を止めようとしているが、指の間から垂れ流れていた。
私はそれを、舌を噛みながら眺めていた。
弾力がある。
わずかな臭みと、レアな食感を味わっていたが__。
べっ‼︎
吐き出す。
「まずい」
落胆の声とともに吐き捨てた。
やっぱり、期待した私がバカだったか?
クソみたいな男の舌は所詮、クソみたいな味しかしない。
もっと大切な人の【肉】じゃないと。
恋仲じゃなくても構わない。
大切な人でいい。
失いたくない、守ってあげたいくらいの、親しい人。
あの時の味が、舌の上に広がっていく。
しばらく恍惚に浸る。
相変わらず、のたうち回っての叫び声が公園に響き渡っていたが、気にすることはない。
【処理】を依頼すれば、こんなクソみたいな男でも誰かの役に立つ。
誰かの、腹の足しになるからだ。
「さようなら」
私は公園を出た。
最高の【肉】を求めて。
(喰)