dieっと


入った部屋は、披露宴でもするかのように豪華だ。


丸いテーブルがいくつも並べられ、スタッフに振り分けられて座っていく。


あまりの混雑に、ふと隣を見ると小塚さんが居なくなっていた。


さっきまで側に居たのに。


山道から、私のことを励ましてくれた。顔見知りができたと心強かったが、私が案内されたテーブルには居なかった。


それどころか__。


「デブばっかだな。こっちまで太るわ」


例の痩せた男が、顔をしかめる。


腹が立って「ほんとに失礼じゃない?」と食ってかかろうとしたが、横の女性が先に怒り出した。


私より少し年上だろうか?


体型は私とほぼ一緒だが、背丈と手足の長さが違う。


「本当のこと言ったまでだろ?ろくに努力もしないで太りやがって」


「だから、決めつけるのやめなさいよ‼︎」


バンっ‼︎とテーブルを叩いて立ち上がる。


「なんだよ⁉︎」


あの男を怯ませるくらいの剣幕で、上から見下ろす。


すぐにスタッフが仲裁に入り、おとなしくなった。


ちょっといい気味だと笑うと、その女性と目が合って頷き合った。


「私、村上由加里(むらかみゆかり)よろしく」



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