dieっと


由加里は、私より2つ年上の21歳だった。


体重は【84kg】と同じだったこともあり、すぐ打ち解ける。


亜紀のこともあって積極的にはなれなかったが、やはり言葉を交わせる相手ができるのは、嬉しい。


「で、あんた名前は?」


「はーぁ⁉︎」


あさってのほうを向いて、どうやら答える気がないらしい。


私も別に知りたくもない。


でも由加里は、同じテーブル内で自己紹介をするよう提案した。せっかく知り合えたんだからという理由づけに、向かいに座る男は鼻で笑ったが。


「答えたくないならいいわ。うんこって呼ぶから」


「はぁ⁉︎」


「じゃ、うんこ年は?」


「お前、なめてんのか?」


「いや、うんこ舐めるとかあり得ないんですけど」


「沢渡(さわたり)‼︎」


「沢渡うんこ?」


「沢渡篤志(あつし)‼︎」


「沢渡さん、よろしく」


どうやら、由加里のほうが一枚上手らしい。


渋々といった様子だが、年が28歳であることと、プロボクサーであることを聞き出した。


どうりで痩せているわけだ。


「それでは皆さん、お食事にしましょうか」


女子というより、女史か女帝の合図でテーブルにコース料理が運ばれてくる。



< 35 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop