dieっと
さすがに閑散としている。
デブの悪いところは、簡単に痩せようとしたがる。
苦労__すなわち、汗をかきたくない。極力、体を動かさずに痩せようとするなら、必然と道は一つしかない。
食べないことだ。
お腹は減るが、運動するよりはマシだという考えが真っ先に浮かぶのが、デブの証。
ところが、由加里は食事をしたほうがいいという。
野菜中心だったが、席について食事を始めた。
「真帆は、果物だけ?」
「うん、食欲がなくて」
言い訳をしたが、食べ物を口にするのが気乗りしないだけだ。
大した運動をしたわけじゃない。
これで食べてしまっては、体重が減らないんじゃないか?
そんな不安にかられ、午後からも運動に励んだ。
三食、ちゃんと食事をする由加里とは途中で別れ、部屋に閉じこもる。
ここから出てしまえば、鷲掴みにしたパスタを口に突っ込んでしまうからだ。
さっさと寝ようとベッドに入るが、腹時計が鳴り続けている。
仕方なく携帯を掴んだが__。
「そっか」
ここは圏外だ。
携帯が通じない。
つまり、ここが【何処か】すら分からない。
もし私が今、餓死しても誰にも報せは届かないんだ。
そんなことを考えているうちに、私は眠っていた。