dieっと


朝、きっかり6時にアナウンスが流れる。


【体重測定】の時間だ。


部屋から出て広間に向かうと、緊張感を肉じゅばんのように纏ったデブたちが集まっていた。


きっと大丈夫だ。


ご飯も食べていないし、運動にも励んだ。少なくとも0.5kgは痩せているだろう。


「真帆、頑張って。私、0.8kgしか痩せてなかった」


先に測定を終えた由加里は、もちろん1日目合格だ。


「僕は1kg」と、小塚さんもやってきた。


いい波に私も乗りたい。


順番が回ってきたので、そろりと体重計に足を乗せる。


【82.0】


「2kgも痩せてた‼︎」


両手を広げて迎えてくれた2人の胸に、飛び込む。


「真帆、凄いじゃん‼︎」


「1日で2kgは最高記録じゃないかな?」


本当ならライバルであるはずなのに、自分のことのように喜んでくれる、由加里と小塚さん。


けれど【あいつ】が笑っているのが、横目に入る。


「なによ?2kg以上、痩せたっていうの?」


「俺は0.3kgだ」


答えたのは、沢渡篤志。


「たったそれだけ?少なくない?」


私は勝ち誇って胸を張ったが、ヤツのジャブが炸裂する。


「お前、馬鹿か?」



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