dieっと


ひ、一晩で3kg⁉︎


そんな方法があるのか?


いや、プロボクサーだから、減量に関してもプロだ。


嫌味ったらしく微笑んでいるが、ここはこれまでの事を水に流すしかない。


「どうすれば痩せるの?」


悔しいが、少し下手に出て尋ねた。


しばらく、じーっと私のことを見る、沢渡。黙っていれば、ワイルドで野生的な顔立ちはモテるだろう。


あくまで黙っていれば、の話。


「それはだな__」


「それは?」


もったいぶる口調に思わず身を乗り出すと、にっこり満面の笑みを浮かべて言った。


「お前に教える理由がない」


「はっ?」


「そんなとっておきの秘密兵器、なんでお前に教えなきゃならん?」


「なっ__」


腹が立って言葉も出ない。


やっぱりこいつは最低野郎だ‼︎


一瞬でも、こんなヤツを頼りにした私が馬鹿だった。


すぐにプイッと背を向けて立ち去ろうとしたが__。


「教えてやらないこともないがな」


振り返ってしまった。


この場を足蹴にして去れない自分が、もどかしい。


「自分がデブだと認めたら教えてやろう。私はなんの努力もせずに太りましたって認めるんならな」


「最っ低‼︎」


それだけ吐き捨てると、今度こそ立ち去った。


誰があんなヤツ、あてにするものか‼︎


誰が__。








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