dieっと


それからは闇雲に体を動かした。


足元もふらふらだが、あいつに負けたくないその一心で走り続ける。


「真帆、もう休もうよ?倒れちゃうよ?」


由加里に言われて初めて、もう日付が変わろうとしているのとを知ったくらいだ。


それでもトレーニングルームにはデブが溢れかえっていた。


みんな痩せたいのか?


【1億円】が欲しいのか?


らんらんと目を輝かせてダイエットに励む。


「もうちょっとだけ走る」


「でも、飲まず食わずでしょ?」


「だって、私は2kgだもん‼︎」


焦りとも諦めともつかない感情を、由加里にぶつけてしまう。


由加里は恐らく、2日目のノルマを達成してるんだ。


ジムの隅っこには体重計が置かれており、いつも列ができてきた。


わざわざ計るまでもなく、1kgくらいなら痩せた実感があるのか?


私は怖くて乗ることができない。


今、乗ってしまえば、明け方まで走るんじゃないか?


誰かに止めてほしいと、どこかで願いつつも足は前に動く。


本当はもう、限界を超えているのに__。


すぐにでも諦めてしまいたい。


いつもの意志の弱い自分が、顔を覗かせる。



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