dieっと
自分が1番よく分かっている。
私たちデブは、こうなった理由を1番よく分かっているんだ。
分かっていながら、今の自分に甘んじている。
それを他人に認めるなんてこと__。
「俺も暇じゃないんでな」
軽く手を振って去っていく。
あの背中を流せば、私は勝ち残れないだろう。
1億円はどうでもいい。
ただ、応援してくれる由加里のため、そしてなにより自分のため、できることがまだあるのなら、全部ためしたい。
後悔続きの自分を、もう悔やみたくはない__。
「努力もせずに太りました‼︎」
大声で認めると、遠ざかっていた背中がピタリと止まった。
「ん?なんて?」
「努力もせずに太りました‼︎」
「悪ぃ、聞こえなかった」
意地悪く微笑む、悪魔のような男。
「努力もせずに太りました‼︎」
建物内に響き渡る声で叫ぶ。さすがにこれで__。
「太って、すみませんは?」
「はー⁉︎」
「ぶくぶく太ってすみませんは?」
「最低‼︎」
もう我慢ならないと、今度は私が背を向けた。
あんな男に縋ったばかりに、とんだ赤っ恥を__。
「分かった分かった。教えてやるよ‼︎急激に体重を減らす、とっておきの方法をな」