dieっと
青色のジャージを着たデブが一堂に会するのは、ある意味、圧巻でもある。
老若男女、私より若い人はおらず、同年代をあまり見かけない。
「真帆が隣で良かった。なんか心細かったから」
早くも下の名前で呼び合うことを持ちかけてきた亜紀は、その丸い雰囲気から、とても親しみやすかった。
「私も。途中で帰ろうかと思ったもん」
「ちょっとした旅行だと思って楽しまない?」
そう言って、チョコレートを差し出してくる。
これから【ダイエット合宿】だというのに、いささか呑気にも思えたが、断るわけにもいかず受け取った。
「真帆はなんで参加したの?」
「私は__?」
言葉が繋がらない。
どうして参加してしまったのだろう?
【1億円】という賞金に目が眩んだ?
いや、お金の価値が実感できない。それに元々、勝負事には疎い。誰かと争ってまで勝とうという気性じゃないから、それなら身を引いて穏便に済ませるほう。
となると、やっぱり1つだ。
「私は、痩せたいから」
そう、痩せて【あいつ】を見返したい。
【デブ】とたったの一言で私を切り捨てたあいつを、後悔させてやるんだ‼︎