dieっと


そう、ずっと気がかりだった。


ジャンプしたり、その場で勢いよく回ったり、最初は気にならなかったが、1時間を過ぎた辺りから、気になり始めたんだ。


汗が。


タオルで拭いても拭いても間に合わない汗が、顎から滴り落ちる。


毛先からもぼとぼとと滴り、足元に溜まっていく。


汗の水溜まりができてしまう。


その上で激しく踊るので、いつか滑って転ばないかと気が気じゃなかった。


それがよりによって__。


「あっ‼︎」


声を上げたのは、私と由加里がほぼ同時だった。


足をとられて床に倒れこんだ由加里は、すぐに立てない様子だ。


それが疲れから来るものなのか、そうじゃないのか分からなかったが、足首を押さえているのを見て、私は飛び出した。


「大丈夫?代わるよ」


「ごめん。さっき代わってもらったばかりなのに」


痛みに顔を歪めて由加里が謝る。


「大丈夫だって‼︎あとは私に任せて‼︎」


由加里に肩を貸し、休んでいる小塚に後を託して前に戻った。


1分ギリギリ使い、踊り出す。


足元が覚束ない。


これで私まで滑ってしまえば、その時点で終わりだ。


由加里はもう戻らないと考えたほうがいい。


あの足じゃ無理だ。


ここから、私1人で踊らないと。


1人で。




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