dieっと
1時間が過ぎた。
レッスンが終わる気配は全くない。
「真帆‼︎」
後ろから由加里が私を呼ぶが、振り向かなかった。
まだ足は治っていないはず。
それなのに代わろうと言うのだろう。
これ以上の無理はさせられない。
私がなんとか頑張ろう。
それも、そろそろ限界が近づいてきていたが__。
どんどん減っていく参加者たち。
あれだけ満杯だったスタジオが、がらんとし始めた。
それなのに__?
「暑いな」
唯一、涼しい顔で踊っていた篤志が、小さく呟いた。
そうだ。
数が半分に減ったはずなのに、室温は下がるどころか上昇しているように感じた。
熱が肌にまとわりつき、離してくれない。
相変わらず汗は止まらないから、足元の水溜まりが広がっていく。
自ずと滑りやすくなってしまうというわけだ。
「足を上げて‼︎」
ジャンプをする際、スタッフから指示が出た。
すでに、足を上げることさえできない私は、声に押されるように跳び上がる。
つま先が、つるりと滑った。
「危ない‼︎」
由加里の叫び声が聞こえたが、もうどうすることもできない。
私が転んでしまえば、由加里ともども不合格となってしまうのに__。