dieっと
ドンっ‼︎
【何か】が衝突した。
私たちが見ているガラス張りに向かって、男性の参加者がぶつかったんだ。
ドンドンドン‼︎
ガラスを叩いている。
その顔は茹っており、目は充血して血走っていた。
顔中の穴という穴から汗を噴き出し、なにかを叫んでいる。
目に怒りと畏(おそ)れが浮かび上がってはいるが、こちら側は見えていないはずだ。それなのにその目は、信じ切っているパートナーを探して蠢いている。
確か男女でペアを組んでいたはず__?
みんなの視線を一手に浴びている大柄な女性は、身を震わせて見つめていた。
温度が上昇するとともに、どんどん憤っていく、かつてのパートナーを。
やがて彼女は水を飲み干す。
それはもう、気持ちいいくらいに。
罪悪感という味は、どんな味だろう?
ドンっ‼︎
1人が2人、2人が4人。
ガラスに張り付き、叩き、交代を求める参加者と、それをどこか冷たい目で見ているパートナー。
この一枚の壁を隔てて、天国と地獄に分かれていた。
「飲まないのか?」
早くも空のペットボトルを放り投げた篤志は、はやから小塚さんと交代する気はないようだ。
「私は由加里と一緒に残るから」