dieっと
開始早々に、裏切って脱落するペアが続出する。
それも無理はない。
選択肢はすべて、私たちのほうにある。
水を飲むのも、あの灼熱地獄を拒絶するのも、ここで相手だけを失格にするのも、すべてがこちら側が握っていた。
最終的に勝ち残るのは、1人だけ。
ペアで協力するとはいえ、1億円を手にできるのはたったの1人なんだ。しかも、これだけ数が減ってくると、ひょっとしたら?なんて私でさえ、頭を掠める。
でも私は、由加里を見捨てたりしない。
その由加里は、ぐったりと床に倒れこんで動かない。
まさか、意識がない⁇
「あの、代わります‼︎」
「まだ10分も経ってないけど?それでもいいの?」
例の私たちを【デブども‼︎】と罵った女性が、私に確認をする。
残りがまだ50分あるのだと。
おそらく、1人で50分は無理だが、ここで由加里に休んでもらい、また代わってもらえれば乗り越えられるんじゃないか?
「代わります‼︎」
「__分かりました」
1つ頷くとスタッフに指示をし、由加里が運ばれてくる。
やっぱり1人では歩けないんだ。
「ごめんね、真帆」
なんとか意識はあるが、全身から湯気が立ち昇っていて、近くにいるだけで熱い。
「あとは任せて、ゆっくり休んで」
口早にそう言ってから、私は中に向かった。
地獄のような暑さが口を開けている、その中に飛び込んだ__。