dieっと
もう体から出るものは何もないのに、それでも汗となって溢れ出てくる。
それに加え、鼻水に涙が顔を覆い尽くし、拭うのに手を持ち上げることさえできない。
あと30分だ。
そろそろ、外で熱気を取り払った由加里に代わってほしいところだが__。
「さ、寒い」
大きな体を抱き締め始めた小塚さんに、それどころではなくなる。
顔色が、ない?
赤く火照っていたはずの頬が、今や青白く光っている。
この熱波の中で、寒さを感じるなんて異常だ。
かといって、パートナーである篤志はとっくに水を飲み干して見限っていたが?
まさかここでそれを告げるわけにもいかず、どうしようか困っていたら、当の篤志が険しい顔でやってきた。
「マジでやばいな。人間が過ごせる温度じゃない」
と、私の向かいに座る。
小塚さんが、スタッフ数人がかりで運ばれていく。
見放したようなこと言っていたのに、どんな風の吹きまわしだろう?
この男が、誰かを助けることがあるだろうか?
大変な目に遭うのが分かっていて、ここに戻ってきた。しかも、戻らなければ小塚さんというライバルを蹴落とすのに成功するんだ。ペアを組んだ2人の間に、友情が芽生えたとは、とてもじゃないが思えない。
それじゃ、どうして__?
1つ咳払いをすると、篤志は私に言ったんだ。
とても信じられないことを。