冷たい部長の甘い素顔
あれはゴールデンウィークの事。
私たち夫婦は、社長夫妻に呼び出され、有名な日本料理店で会食をした。
「こんばんは。
今日は、お招きありがとうございます。」
将軍さんの挨拶に合わせて、私も頭を下げた。
「こんばんは。
まあ、座って。」
社長に促されて、私たちは並んで向かいの席に着いた。
「さ、どうぞ。」
社長からお酌をしようと徳利が差し出された。
「いえ、社長から。」
将軍さんは、先に社長にお酌をしようとする。
その横で私は、専務に話しかけた。
「専務はいかがなさいます?
確かあまりお酒は召し上らなかったと
記憶してますが…」
「そうなの。
よく覚えてたわね。
私はこのお茶で十分。
爽ちゃんは、たくさん飲んでいいのよ。」
専務は、そう笑顔でおっしゃった。