冷たい部長の甘い素顔
「え!?」

私も将軍さんも、驚いてそれ以上、言葉が出ない。

「ご存知の通り、社長、専務、常務は同世代
だから、そこに引き継いだ所で、数年しか
持たないでしょ?
秦野くんと東堂くん以外の部長たちは、他の
会社から引き抜いて来た人たちで、仕事は
できるけど、この会社に愛着があるわけじゃ
ない。
利益になると分かれば、多分、売却や合併
だって平気な人たちだ。
まあ、だから冷静に会社を見て判断できるん
だけど。
その点、秦野くんは、この会社に愛情を持って
この会社のために働いてくれてると、僕は
思ってる。
どうだろう?
将来の社長として、この会社を引き継いでは
もらえないだろうか?」

「私より、先に東堂さんではないんですか?」

将軍さんが尋ねた。

「うん。
東堂くんもいい子だとは思うよ。
でも、あの子は優しすぎて、人の上に立つ
タイプじゃない。
君は、自分が恨まれても嫌われても必要な
判断ができる人だと思う。
社長は、いい人なだけじゃ、できないんだ。」
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